知りたい!特別受益の範囲

特別受益の判例と要点

特別受益の判例と要点

特別受益の判例と要点 特別受益とは被相続人(故人・相続を行う人)が生前に相続人(相続を受ける人)に金銭を譲渡または使用することですが、その範囲がどこまでなのかということを裁判が起こるケースがあります。
一例として、開業医の歯科医の息子が相続を受ける際に、歯科の大学の学費とそれ以前の養育費と学費が特別受益にあたるのではとして裁判が起こされました。その際は「大学の学費などは養育費にあたり、特別受益に当たらない(要約)」という判決が出ました。
ここでの要点は親の歯科医という職業柄による収益性です。
別の判例では「収入的に支払うことに無理がない学費は特別受益に当たらない(要約)」という判決があり、それと同様な理由での収益性を鑑みた判決でした。
判決理由にも「被相続人が開業医であったことを考慮すると」とありましたので、これは開業医の親と同じ職業を目指していたからということではなく、収益性を指してのことでしょう。
このように、どのような経済状況で、どのような理由でお金を渡したかということが関わるので、そのことが争点となりとてもややこしい事になってしまいます。

生前贈与が特別受益になるのかを裁判で認定する

生前贈与が特別受益になるのかを裁判で認定する 親が所有している土地の無償使用をしたり、独立起業をするからと資金を用立ててもらったりすると、親が亡くなったときに相続人となる他の兄弟や残された親がもらえる遺産が減ってしまいます。
そういうときには、無償使用をした土地や用立ててもらったお金は特別受益として、その分を遺産に持戻して公平に分けなければいけません。
ただ、生前贈与がすべて特別受益となるわけではありませんから、お互いの主張が平行線をたどり話し合いだけでは解決できない可能性もあります。そんなときには裁判で、特別受益になるのかを争います。
裁判では、客観的な証拠に基づき認定が行われるので、訴えた相続人は主張を裏付ける贈与に関する書類や、「生計の資本としての贈与」に関する書類が提出します。
ここでは土地の契約書や被相続人の預金通帳などが使われるのですが、預金通帳は被相続人が利用していた銀行に照会をすれば発行をしてもらえます。もし、証拠となる資料が何もなければ、主張は根拠がないものとなりますから特別受益の持戻しは行われません。